特別審査員 全体講評

会田正裕 / プロカメラマン
5年のあいだ、フォトコンテストに寄せられた数々の写真が刻んだ一瞬一瞬は、やがて街の記憶となりました。
そこに写るのは、五年前の街の景色、笑顔、寄り添う家族や人々のぬくもり。
それらは今、時の流れを映す宝石のように輝き、私たちに「変わらぬもの」と「変わりゆくもの」をそっと教えてくれます。
今年もまた多くの力作が集まり、過去五年間の中でも特に選考が難しい回となりました。
還暦を迎え、この町で生まれ育った者として、作品の中に映る風景や人々の表情が、胸に深く染み入りました。
写真を届けてくださった方々、そしてこの街に暮らす人々とのつながりを、改めて感動とともに実感しています。
審査員としてこの場に立ち続ける中で、こんなにも深くこの街や皆さんを愛するようになるとは、自分でも思いもしませんでした。
写真を通して街を見つめ、人を見つめることは、いつしか私自身の喜びとなり、かけがえのない発見の連続でした。
写真は、過ぎ去る時を留め、未来へと手渡す贈り物です。
どうかこれからも、日常に潜む小さな奇跡を見つけ、撮り続けてください。
そして、またこの場所で、笑顔と物語が集う日が訪れることを信じています。
街と人々の幸せが、これからも変わらず続きますように。

岡田智秀 / 日本大学理工学部まちづくり工学科・教授
5年目を迎えた八千代台フォトコンテストは、今回で最終回を迎えました。
応募件数は、一昨年(延べ78件)→昨年(延べ90件)と最多件数を更新してきましたが、今回はさらに更新して延べ103件(有効作品全96件)となりました。ご応募いただいた皆さま方に厚く御礼申し上げます。
さて、恒例になりましたが、今回の応募作品(有効作品全96件)の特徴を大まかながら分類・整理してみました。その結果、興味深い特徴として、この3年間にわたり分類テーマが大きく変化することなく、全応募作品をほぼあてはめることができました。このことは、八千代台エリアの風景タイプがほぼ出そろってきたことを意味しています。さらに、今回初登場したのが「駅西口ロータリー」という分類テーマでした。これは、今年6月に開催した当フォトコンテストシンポジウムにおいて、現地撮影会を実施した場所がちょうどこの周辺であったことが影響しているものと推察されます。
今回の応募作品全体をランキング別にみていきます。
最も多かった分類テーマは、3年連続で「夕景」(18件)であり、続いて「公園・緑地」(14件)、「花・植物」(13件)となりました。これらは3年連続で“ベスト3”入りを果たしています。さらに、第4位には昨年最下位であった「街路(駅地下道含む)」(12件)が急浮上し、以降、「京成線(駅舎内含む)」(9件)、「青空・雲」(8件)、「エルム(外観)」(5件)、「エルム(館内水槽)」「朝日」「駅西口ロータリー」(各4件)、「夜の町・月夜」(2件)、「その他」(3件)となりました。
以上を通じてみると、このプロジェクトの当初期の応募作品は、審美的な撮影写真や地域のランドマークやシンボル的な建物・神社・公園緑地が中心のように思われましたが、昨年度あたりからは、日常のありふれた街並みや駅周辺部が多く応募され、それらは、同じ場所から撮影した風景であっても、夕日・朝日・月夜・雪景色・紅葉・深緑など、季節や時間の「移ろい」をテーマにするものや、過去の想い出をテーマにするものなどが共通することに気づかされます。
そもそも、このフォトコンテストが始動したきっかけは、私が実行委員長を仰せつかった「八千代台まちづくりプロジェクト2016」において、住民ワークショップの中で八千代台には特徴的な地域資源に乏しいのではないかという住民たちの意見が浮き彫りになり、そうならば、八千代台地域を対象としたフォトコンテストを通じて、住民目線で八千代台の地域資源をあぶりだそうというところから現在に至っています。こうした背景を振り返りつつ、この5年間の応募作品を通じてみると、見過ごされがちな日常の風景の中に、「移ろい」と「自己体験にもとづく想い出」の2つの要因によって、八千代台の地域的魅力が成り立っていることが見えてきました。
自然豊かな「田舎」でもなく、大都市のような「都会」でもない、いわゆるベッドタウンと称されるような「近郊都市」の魅力とは、共通してそのような地域構造があるのではないかという、景観研究における新たな知見が見いだされつつあります。このことについては、現在、岡田ゼミの卒業研究として、過去5年間の全応募作品を科学的に分析しているところなので、その成果がまとまりましたら、八千代台駅地下道に成果品を掲示したいと思います。どうぞご期待下さい!
末筆ながら、主催者の吹上代表をはじめ、運営メンバーの皆様、八千代台に生まれ育ちボランティアで多大なご支援を下さった特別審査員の会田様、クラウドファンディング等で継続的にサポートをいただいた皆々様、そしてこれまでの応募者の皆様方に、心より御礼申し上げたいと思います。さらに、フォトコンの企画検討段階から現在の運営に至るまで、当プロジェクトを支えてくれた岡田ゼミの学生の皆さん、特に歴代リーダーの松岡七海さん、勇崎大翔君、三浦靖貴君、常松美咲さん、たいへんありがとうございました。
最後に、八千代台まちづくり合同会社、ならびに八千代台地域、それらご関係の皆様方の益々のご発展を衷心よりご祈念申し上げ、結びとします。


double rainbow

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
えん
一般の部
家の窓から
2025/7/1
副虹までくっきりな大きな虹が出ていたので、
すかさず家の窓から撮りました!
撮った時、たまたま京成線の新型車両が通ってかなりレアな写真になりました!
審査員コメント


土手の上を走る京成電車、その向こうに広がる雲、そして空をまたぐ二重の虹。
三つの橋のように重なった風景が、絶妙な構図と瞬間の輝きで一枚に収められています。
電車や虹のタイミングが奇跡的に合っていて、構図もよい。

好きな花と好きなエルム

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
むすぶ
子どもの部
八千代台駅の近く
2025/5/24
八千代市だからバラとユアエルム
審査員コメント






八千代市を象徴する「バラ」と八千代台地域を代表する「ユアエルム」が魅力的に描写された作品です。この2つの対象物が同時に描写された応募作品は多く見られましたが、この作品に関しては、子供の目の高さで、やや見上げるようなアングルで描写され、ここにこの作品の個性と魅力が感じられました。
勢いとバランスが絶妙で、見ているこちらまで思わず笑顔になります。
バラの花の写真で、ここまで心が温まったのは初めてです。
自由な感性と、瞬間を逃さないまなざしに、心からの拍手を贈ります。
地域のシンボルであるユアエルムと、同じ色をした花を一緒に切り取った構図が印象的です。子供ならではの視点と画角が、作品に素直な温かみと発見の喜びを与えていると感じました。
八千代台の美しさを素直に感じる心を大人になっても持ち続けて欲しいと願います。
大好きなユアエルムと市の花バラを1つのフレームいっぱいに収まるようにアングルを探している姿が思い浮かぶようなかわいい写真だなと思いました。
バラとエルム、最も八千代台らしい題材を少し下の子供目線がホンワカ。
桜とブランコ

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
アッキーママ
一般の部
八千代台第1公園
2025/4/1
桜と一緒にブランコをするだけで、いつものブランコがもっと楽しくなります♪
審査員コメント



この写真を見ただけで、子供たちの笑い声が聞こえてくるところに魅力を感じた。
写っている子達が大人になるまでこの風景を残し続けてほしいです。
桜の花咲く春に、一番古くからある八千代台第1公園で幼子の笑い声が聞こえてくる風景をとらえたこの写真。昔も今も変わらないそしてこれからもきっとずっと、、、のどかでほっこりそして楽しみも感じられました。

まちを彩る壁アート

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
猫のアーノルド
一般の部
八千代台西口駅前
2025/7/26
駅前の旧交番に描かれた、地元アーティストと中学生による共同アート。
この前を通ると、元気と明るいパワーがもらえます。
審査員コメント



八千代台地域を代表する顔として誰もが認める「京成線」と「ユアエルム」。この2つの顔が同時に楽しめる新名所を見つけてくれました。「京成線」の絵は、カラフルでこれからの未来に進んでいこうという勢いのある描写であり、その傍らにリアル「エルム」が共存するというユニークな構図が高く評価されます。
構図とシャッターチャンスがあまりにも見事で、まるで通行人が絵の中へと溶け込んだかのよう。
ペイントと現実が交差する、この一瞬によって交番のペイントと写真の二つが完成しましたね。
瞬間を捉える写真の魅力を味方にした感性と確かな技術、その両方が輝くこの写真を、心から感動します。
八千代台出身アーティストと地元中学生の共同作品ということで、人の繋がりを感じることのできる作品で良いなと思った
あちらとこちらを

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
bunmay
一般の部
八千代台地下道
2025/6/1
八千代台駅らしいものってなんだろうと探して西口側、東口側と行き来している時。気が付きました。あ、この地下道って八千代台っぽいなって。この写真を見た人がこの場所に興味を持ってもらえたらいいなあと思い、ちょっと不思議な雰囲気になる様にしてみました。
審査員コメント



八千代台の駅地下道はたびたび応募作品としてみられました。よそ者目線としては単に古びた通路でしかないけれど、地元目線で見れば、(意外にも?)愛着と親しみが注がれる場所になっています。この駅地下道の構造が最も楽しく見える場所を見事に発掘し、駅地下道の風景の楽しみ方を教えてくれる作品です。
シンプルに地下道、なのだが、芸術的な切り取り方。古くなっているが、大事な通行路であり、キレイに使い続けたい地下道である。
通り慣れた道なのにあの視点でまるで別世界との交差 不思議な感じです
ホームタウンにうつる夕日

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
FLIP FLOPS
一般の部
八千代台西口横断歩道橋
2025/6/21
八千代台駅・改札口を出ると、いつもの歩道橋が迎えてくれる。ビルの向こう、西の空、雲間に滲む夕日につつまれながら、人々は今日一日の出来事やいろんな想いを抱えて家路をたどる。夏至の夕日を写真に納めてみた。
審査員コメント



ながいながい西口のペデを渡りながら女子高生は何を話しているのだろう?宿題のことかな?彼氏のことかな?ごはんのことかな?
何気ない毎日を感じられるなんだかいい感じの風景だと思いました
まさに日常の青春の1ページといった写真で、「エモい」を全開に詰め込んだ写真だと思いました!
中高生時代の部活帰りの友達と下校する楽しかったひと時を思い出す1枚でした。
ここでしか撮ることのできない、八千代台の雰囲気をこの一枚で感じることができる。
Luminous Sunset

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
えみっち@やっち応援隊
一般の部
八千代台北10丁目(自宅アパートにて)
2024/9/5
自宅アパートから何気なく西の空を眺めてみると、きれいな光芒が見えたので、撮影をしてみました。八千代の空も、八千代の未来も明るく照らしてくれる・・・と願いをこめた1枚です。
審査員コメント

光と雲、青と黄色、それぞれの対比が素晴らしく綺麗
初めて見たオレンジ色の空

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
ブラピパパ
一般の部
八千代台東町子供の遊場付近
2025/6/8
まだ目が見えてまもない4ヶ月の息子がとても楽しそうに空を眺めていました!ふとした帰り道に撮ったオレンジ色の夕日の空です。
審査員コメント




夕日に染まる空の下、お母さんに高く抱き上げられる赤ちゃん。
隣でお姉ちゃんがベビーカーを押し、パパがその姿をそっと撮る。
家族の何気ない時間が、オレンジ色の空に包まれた瞬間、一生の宝物へと変わってゆく。
その温もりも、光も、そして時間までも、この一枚が優しく閉じ込めています。
家族の想いと喜びを共有できることこそ、この作品の大きな魅力。
写真が持つ「今を永遠にする力」をあらためて感じさせ、作者の優しい眼差しに心からの賞賛を贈ります。
八千代台のベッドタウンとしての魅力と、綺麗な夕焼けが見事にマッチした作品で素敵だなと感じました。
八千代台の風景と夕陽、さらに家族の温かさを感じることができ、ほっこりする写真。
空の色と抱っこされている子供、ベビーカーを押している子から醸し出される雰囲気が良い。
春の空気感

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
ひろみつ
一般の部
八千代台近隣公園
2025/4/6
満開の時期を過ぎた桜の下、子どもたちが元気にサッカーを楽しむひととき。
季節のうつろいと日常の輝きが重なる春の午後の風景です。
審査員コメント



春の訪れを告げる桜の美しさが、やわらかな光の中で見事に表現されています。花びら一枚一枚まで丁寧に捉え、季節の空気感とともに見る人の心を優しく包み込みます。
花と奥で遊ぶ子供たちから八千代台の雰囲気を感じられて良い。
手前の桜が美しいのだが、奥に楽しそうに運動をしている子どもが見えて、そちらも大変微笑ましい。
滲む夕空、帰り道のシルエット

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
GS.C
一般の部
八千代台駅西口吉野家の前あたり
2024/9/22
仕事の帰り道
なんとも言えない夕空のなかに浮かぶ標識のシルエット
そして、八千代台と言ったらの京成バスがタイミングよく停まっていてこの景色好きだな…と気付いたらスマホのシャッターを押していました。
審査員コメント


シルエットに空のグラデーションが好きです
雲の形と雲に映る夕日の色がとても良いと思った。
八千代台東4丁目の夕焼け

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
コンちゃん
一般の部
八千代台東4丁目
2025/7/28
4丁目の京成線を横断する橋を歩いていたら、とても綺麗な夕焼けに出会い、思わずパチリと撮っちゃいました。
審査員コメント

八千代台東地区を特徴づける「戸建て住宅地」と「鉄塔」は、日中であればごくありふれた風景かもしれない。しかし、こうした夕暮れ時になると、ブルーとオレンジの鮮やかな夕空を背景に、住宅地と鉄塔が漆黒のシルエットと化し、まさに藤城清治氏の作品のごとく、影絵のような美しい東地区の姿を浮かび上がらせています。
八千代台のあけぼの

おなまえ
部 門
撮影場所
撮影年月
写真の説明
八千代台の助さん
一般の部
八千代台駅 東口 ロータリー
2025/5/15
午前4時台のロータリー。普段は人や車で溢れていて撮れない構図なので、早朝の始発前に撮りました。満開の薔薇にタイミングを合わせるため、数日間かけて撮影できた一枚。この街を笑顔にしてくれる平和の象徴です。
審査員コメント



駅前ロータリーのバラの花壇が、最高のアングルから捉えられています。
始発前の静けさが深い息を潜めて佇むようで、その荘厳な空気感が作品を際立たせています。
狙い続けた末に切り取られた一枚とのこと、その情熱が画面から鮮やかに伝わってきます。
花壇を丹念に育てた人の努力と、それを見つめ続けた撮影者の心が、この瞬間でひとつに結ばれています。
その交わりが、この駅を「誰かに自慢したくなるほど美しい場所」へと昇華させたのだと感じます。
作品から溢れる感動に、そしてこの瞬間を生み出した作者の眼差しと粘り強さに、心からの賞賛を贈ります。
数日間の観察と待ち時間が、この満開の薔薇の輝きへとつながっています。情熱と忍耐が結実した、美しい瞬間をとらえた作品だと感じました。
このアングルはなかなか素晴らしい